益若つばさ『EATME』ディレクターは「毎日が戦い」―立ち上げまで1年以上悩んだ過去と現在のやりがい&苦労を語る モデルプレスインタビュー
益若つばさ『EATME』ディレクターは「毎日が戦い」―立ち上げまで1年以上悩んだ…
【益若つばさ/モデルプレス】モデル・タレントとして活躍する傍らアパレルブランド「EATME(イートミー)」(MARK STYLER株式会社)を手掛けるなど、多方面で活躍している益若つばささん(30)。一見華やかな表舞台に立っているように見えますが、「EATME」ディレクターとして働く日々は「毎日が戦い」だそうです。モデルプレスではそんな彼女にインタビューを行い、「EATME」ディレクターとしてのこだわりや本音などを語ってもらいました。
― 「EATME」ディレクターの仕事内容を教えてください。
益若さん:私はブランド立ち上げから関わっているので、最初のブランドコンセプトから、ブランド名決め、そしてお洋服のデザイン画を描き、出来上がったサンプルを試着してサイズやボディラインをチェックしたりと幅広く携わっています。「このアイテムは売れたけど、これは売れなかった」といった改善点の打ち合わせなど、地道な作業もあります。原宿本店がオープンしてもうすぐ2年が経過しますが、オープン時には販売スタッフに心構えや販売のレクチャー、コーディネートやメイク講座をしたりして、EATMEの世界観を伝えてきました。今もですが、みんながブレないように定期的に“こういう世界観が好き”というのを共有して、情報交換やディスカッションを重ねています。
― 表舞台で活躍しているイメージが強いですが、こう話を聞くと完全に“裏方”ですね。
益若さん:そうですね。本当に自分でデザイン画を描いて(打ち合わせの場に)持って行って戦っています(笑)。「これは絶対に売れる」とか。EATMEというジャンルは正直今の日本にはないジャンルだと思っています。ガーリーでもなければ、モードでもないんです。10代や20代前半のときはガーリーが好きだったのですが、30歳になるにつれて私のファッションってガーリーだけじゃないなって思い始めて…。28歳のときにEATMEを作ろうと思ったのですが、そのとき甘いだけだと大人の女性は着にくかったり、かといってクールに変えるのは自分のこの見た目と背丈、そして年齢とともに諦めて好きなものを着なくなるのはちょっと違うなって。大人なのに品があって、なおかつガーリー要素もあるあざとい感じが良いなって思ったときに日本にはそのジャンルがなかったので、作ろうと思いました。まだまだ浸透していないジャンルなので、正直難しいことばかりですが、その分やりがいもあります。
― 本日ここ(原宿本店)に来て、益若さんの世界観がすごく伝わってきました。
益若さん:私がお洋服を全部作ってしまうと、癖があり過ぎてなかなか受け入れてもらえないってことになりかねないので、ほかのデザイナーチームと一緒に作業しています。私は世界観を作り、デザイナーチームは世の中に受け入れてもらえそうなデザインを出してもらっています。昨日も8時間くらい打ち合わせしていたのですが、「これだとEATMEっぽくない!毒がない!」とか、「上品過ぎてコンサバっぽくなってしまう」とか、EATMEって一歩間違えると子どもっぽくなったり、コンサバっぽくなってしまうんですよね。そこをVネックのあき具合や、レース使い、丈感など、全部私が最終調整してEATMEらしくしています。
― 益若さんはどんなときにデザインが思い浮かぶのでしょうか?
益若さん:頭の中だけでわからないときは、お洋服の専門書を買って読んでいます。デザインや色彩、生地など、いろいろチェックしますね。あとは洋画を観ています。私はストーリーが面白くて観るというより、フィルムがおしゃれっぽいなと思いながら観ています。だからヨーロッパが好きで、EATMEもイギリスをインスピレーションして作っているブランドなんですよ。そういうのを観て、襟や袖が可愛く出来たときはテンションが上がります。
― EATME以外にも、コスメを作ったり、モデル・タレントとして活躍されていますが、どうやって時間を作っているのでしょうか?
益若さん:移動時間もなにか考えているから、休みはないかも。でも、これらを仕事とも思っていない。ちょっと時間があったら、モデルプレスさんもチェックしているんですよ。そこで、こういうのが流行っているらしい、今はこれがブームとか、ラインのグループで共有しています。ネットだけでなく、街で見かけたものなど、これが可愛かったなと思ったものを撮り溜めて、夜だろうが、土日だろうが、関係なくみんなにラインしています。
でも、今はEATMEをどうやって軌道に乗せるのか、どうやって知名度を上げるのか、1番考えているかもしれません。絶対に良いモノは売れると思っているので、今はそこを信じてやっています。
― そもそもなぜブランドを立ち上げようと思ったのでしょうか?
益若さん:正直、アパレルは一生やらないと思っていたジャンルです(笑)。お洋服は大好きで、大好きだからこそやりたくなかったんです。いろんなジャンルのファッションもしたかったので…。そう思っているのにブランドを立ち上げると制限されちゃうと思ったのですが、大人になった今だから自分の好きな世界観が定まってきているんじゃないのかなって思うようになりました。ただガーリーが好きなだけでなく、意外と黒が好きなんだなとか、ブリブリの可愛さではなく削ぎ落とされた可愛さ、でもコンサバではない、と私の好きなジャンルがわかったときに、これまでにないファッションを表現できるかもしれないと思って、やろうと決意しました。だから、オファーをいただいたとき、最初は「嫌だ」って言ったんです(笑)。そう決断するまで1年以上かかりました。
― 1年以上もオファーを断ったんですか!?なににそんなに悩んでいたのでしょうか?
益若さん:ただ、やりたくなかっただけです。やっぱり自信がなかったんだと思います。でも、難しいから面白そうって思う瞬間があって。「コスメ売れていますね」などと声を掛けていただくことが増えたのですが、私はいつだって売れようと思ってモノ作りはしていません。自分が本当になくて困っていて、「こういうのがあったらいいな」「こういうのが欲しいな」って思ったとき「作ってみないか」とオファーをいただくのですが、いつも最初はお断りしています。テレビに出演したときも「情熱大陸」(TBS系ドキュメンタリー番組)が初テレビだったのですが、「なんでテレビに出なくちゃいけないの」って断りました。でも、周りの人たちが後押ししてくれるんです。だからもう一度自分の中で「なんでみんなは出た方がいいって言ってくれるんだろう」って考えるようにしています。今回のブランドを立ち上げるときもそういう考え方に近いのかなって思っています。なんでも毛嫌いして断るのではなく、1回自分の中で受け止めてみて、できることはなにか考えたときに「表現してみたいことある」って思ったんです。ただ実際はやはりものすごく難しい。モノ作りのディレクターで1番難しいのはアパレルだと思っています。
― なにが難しいと感じるのでしょうか?
益若さん:答えがないということ。コスメはいいモノの答えがあるじゃないですか。落ちにくい、発色がいい、肌に優しいとか。でも、お洋服は人によって好みがバラバラで、自分の個性を表現するものだから、生地の質がいい、ラインがキレイというのはわかるけど、そのデザインを受け入れてもらえるのかはわかりません。そして、私が作っているお洋服はそこまでトレンドに沿っているわけではないんですよね。本当はもっとトレンドに乗った方がいいと思うのですが、私は古臭くなっちゃうお洋服が嫌で、1つ買ったら来年も着たいって思ってもらえるようなモノ作りをしています。せっかくお金出して買ってもらうのだから、宝物のような感覚でみなさんに着てもらいたいなと思いながらデザインを考えています。
― 2年を振り返ってみて、やりがいや苦労したことを教えてください。
益若さん:EATMEのお洋服を着ている人や、ショッパーを持っている人を街で見かけるとやりがいを感じます。自分が作ったお洋服だから、すぐにわかるんですよね。それに、目の前で試着して買ってくれたり、「デートに着ていきます」「彼がEATMEのお洋服をすごく喜んでくれた」とか、そういう声を聞くとすごく嬉しくなります。女の子に生まれたからには、楽しんでもらいたくて、良い情報を得られたらみんなに共有して、みんなとキレイになりたいから、私はモノ作りをしています。お客様の反応を直接見れるのでEATMEをやっていてよかったなと思います。
逆に苦労したことは、この路面店を出店すると決まってから、家賃、内装費などで、最初は赤字ばかりだったこと。そういった意味でも大変でした。あとは、デザインが王道の売れ線ではないので、「そのジャンルってありなの?」って社内スタッフに言われるんですよね。「もっと普通の服作りなよ」って説得されるんですけど、「嫌だ」って言います。それをやるなら、他のブランドで買えばいいし、私がディレクターを降りてもいいと思っています。もちろんほかの方の意見は聞きますけど、自分がやりたい要素は捨てたくないなと思って、日々戦っています(笑)。全部の意見を聞いてしまうと、お洋服ってなにが正解なのかわからなくなってしまうので。買ったときの充実感や着たときの喜びを得られるお洋服を提供することを第一に、そういうお洋服を作っていきたいです。
― 今後の目標を教えてください。
益若さん:ここ原宿って海外の方もたくさん来て下さる街です。アジアだけでなく、アメリカやヨーロッパなど、この世界観が好きと言ってくださる海外の方が多いので、海外展開していきたいなと思っています。もちろん日本でもですが、いろんな方がこのジャンルを着てみたいと思ってもらえたら嬉しいです。
― 益若さんがEATMEで一緒に働きたいと思う子はどのようなタイプですか?
益若さん:ショップスタッフだったら、礼儀があって人当たりがいいというのはもちろんですが、自分の意見をきちんと言ってくれる人がいいなと思います。話し合わないと良いモノは作れません。でもただ否定するのではなく、どこがダメなのかきちんと言ってほしいですよね。「じゃあ、これをこうやったらいいんじゃないですか?」って一歩先まで発言してくれる人が仕事の良きパートナーだと思っています。
― 10代20代の女の子は仕事選びで悩んでいる子が多いと思います。そういう方たちにアドバイスをお願いします!
益若さん:どんな仕事に就いても辛いことは必ずあると思います。楽な仕事はないと思ってください。私も好きなモノを作れるようになるまでには、葛藤の日々です。経験や実績が問われることが多いので、自分の意見を通すために売れようと思ったんですよね。そして最高に良いモノを作ろうって。そこが私のモチベーションだったので、負けたくないって思いました。そういう気持ちがすごく大切ですが、意見を通すためには自分がちゃんと努力をしなくてはいけません。それが当たり前と思ってやった方が挫折はしないと思います。辛くて当たり前、けど、辛い方が楽しい。楽じゃない方が楽しいって。
― 夢を追いかけている女の子に向けて夢を叶える秘訣を教えてください。
益若さん:例えばアパレル業界で働くことが夢だったら、ゴールは人それぞれあると思うのですが、そこに辿り着けないからと言って私には向いていないとは思わず、私にしかできない仕事もたくさんあるってことに気付いてほしいです。その中でも一見華々しく見えるのはディレクターかもしれませんが、私は販売スタッフもとても素晴らしい仕事と尊敬しています。そうどの仕事も素晴らしいところがあるし、その人がいるから会社が成り立っています。アパレル業界って知れば知るほどなくてはいけないポジションがたくさんあるので、自分が1番就きたい職種より、自分が向いていることわかったら、それはそれで1つの夢が叶うと思います。だから諦めないでほしいです。好きなことなら絶対に長続きすると思うので、頑張ってください。
― ありがとうございました。
モデルやタレントとして華やかな表舞台で活躍している姿とは違って、「EATME」ディレクターの益若つばさは完全に“裏方”。今までに見せたことない裏の顔を見せてくれたようでした。
そして、今回特別に益若さんがふとデザインが思いついたときに描いているというノートを見せてくれました!「このデザインがこういう服になるんです」「ワニの絵を描いていると、そこから急にお洋服が思い浮かぶこともあるんです」と。こう目を輝かせながら、話してくれた益若さんは、表舞台で活躍しているときとは違うやりがいという充実感とキラキラ感に溢れていました。
生年月日:1985年10月13日/出身地:埼玉県/血液型:B型/身長:150cm
17歳で雑誌の街角スナップに紹介されたのをきっかけに某雑誌の読者モデルとして活躍。その後、数多くの表紙を飾りカリスマ読者モデルとして不動の地位を築き、美容やアパレル関連の様々な商品をプロデュースする。当時、彼女の経済効果は100億円を超える。現在においては、海外を含め1,000億円になるとも言われている。2012年には、フジテレビ系列のドラマ「最後から二番目の恋」で、栗山はるか役として女優デビューも果たす。現在は、タレント・モデルとして多くのメディア、媒体で活躍するほか、2014年春、自身が発信するプロデュース能力を買われてEATMEのディレクターに就任する。(modelpress編集部)
「EATME」ディレクターの仕事内容
― 「EATME」ディレクターの仕事内容を教えてください。
益若さん:私はブランド立ち上げから関わっているので、最初のブランドコンセプトから、ブランド名決め、そしてお洋服のデザイン画を描き、出来上がったサンプルを試着してサイズやボディラインをチェックしたりと幅広く携わっています。「このアイテムは売れたけど、これは売れなかった」といった改善点の打ち合わせなど、地道な作業もあります。原宿本店がオープンしてもうすぐ2年が経過しますが、オープン時には販売スタッフに心構えや販売のレクチャー、コーディネートやメイク講座をしたりして、EATMEの世界観を伝えてきました。今もですが、みんながブレないように定期的に“こういう世界観が好き”というのを共有して、情報交換やディスカッションを重ねています。
― 表舞台で活躍しているイメージが強いですが、こう話を聞くと完全に“裏方”ですね。
益若さん:そうですね。本当に自分でデザイン画を描いて(打ち合わせの場に)持って行って戦っています(笑)。「これは絶対に売れる」とか。EATMEというジャンルは正直今の日本にはないジャンルだと思っています。ガーリーでもなければ、モードでもないんです。10代や20代前半のときはガーリーが好きだったのですが、30歳になるにつれて私のファッションってガーリーだけじゃないなって思い始めて…。28歳のときにEATMEを作ろうと思ったのですが、そのとき甘いだけだと大人の女性は着にくかったり、かといってクールに変えるのは自分のこの見た目と背丈、そして年齢とともに諦めて好きなものを着なくなるのはちょっと違うなって。大人なのに品があって、なおかつガーリー要素もあるあざとい感じが良いなって思ったときに日本にはそのジャンルがなかったので、作ろうと思いました。まだまだ浸透していないジャンルなので、正直難しいことばかりですが、その分やりがいもあります。
― 本日ここ(原宿本店)に来て、益若さんの世界観がすごく伝わってきました。
益若さん:私がお洋服を全部作ってしまうと、癖があり過ぎてなかなか受け入れてもらえないってことになりかねないので、ほかのデザイナーチームと一緒に作業しています。私は世界観を作り、デザイナーチームは世の中に受け入れてもらえそうなデザインを出してもらっています。昨日も8時間くらい打ち合わせしていたのですが、「これだとEATMEっぽくない!毒がない!」とか、「上品過ぎてコンサバっぽくなってしまう」とか、EATMEって一歩間違えると子どもっぽくなったり、コンサバっぽくなってしまうんですよね。そこをVネックのあき具合や、レース使い、丈感など、全部私が最終調整してEATMEらしくしています。
「EATME」ディレクター・益若つばさの“顔”
― 益若さんはどんなときにデザインが思い浮かぶのでしょうか?
益若さん:頭の中だけでわからないときは、お洋服の専門書を買って読んでいます。デザインや色彩、生地など、いろいろチェックしますね。あとは洋画を観ています。私はストーリーが面白くて観るというより、フィルムがおしゃれっぽいなと思いながら観ています。だからヨーロッパが好きで、EATMEもイギリスをインスピレーションして作っているブランドなんですよ。そういうのを観て、襟や袖が可愛く出来たときはテンションが上がります。
― EATME以外にも、コスメを作ったり、モデル・タレントとして活躍されていますが、どうやって時間を作っているのでしょうか?
益若さん:移動時間もなにか考えているから、休みはないかも。でも、これらを仕事とも思っていない。ちょっと時間があったら、モデルプレスさんもチェックしているんですよ。そこで、こういうのが流行っているらしい、今はこれがブームとか、ラインのグループで共有しています。ネットだけでなく、街で見かけたものなど、これが可愛かったなと思ったものを撮り溜めて、夜だろうが、土日だろうが、関係なくみんなにラインしています。
でも、今はEATMEをどうやって軌道に乗せるのか、どうやって知名度を上げるのか、1番考えているかもしれません。絶対に良いモノは売れると思っているので、今はそこを信じてやっています。
「EATME」を立ち上げた理由
― そもそもなぜブランドを立ち上げようと思ったのでしょうか?
益若さん:正直、アパレルは一生やらないと思っていたジャンルです(笑)。お洋服は大好きで、大好きだからこそやりたくなかったんです。いろんなジャンルのファッションもしたかったので…。そう思っているのにブランドを立ち上げると制限されちゃうと思ったのですが、大人になった今だから自分の好きな世界観が定まってきているんじゃないのかなって思うようになりました。ただガーリーが好きなだけでなく、意外と黒が好きなんだなとか、ブリブリの可愛さではなく削ぎ落とされた可愛さ、でもコンサバではない、と私の好きなジャンルがわかったときに、これまでにないファッションを表現できるかもしれないと思って、やろうと決意しました。だから、オファーをいただいたとき、最初は「嫌だ」って言ったんです(笑)。そう決断するまで1年以上かかりました。
― 1年以上もオファーを断ったんですか!?なににそんなに悩んでいたのでしょうか?
益若さん:ただ、やりたくなかっただけです。やっぱり自信がなかったんだと思います。でも、難しいから面白そうって思う瞬間があって。「コスメ売れていますね」などと声を掛けていただくことが増えたのですが、私はいつだって売れようと思ってモノ作りはしていません。自分が本当になくて困っていて、「こういうのがあったらいいな」「こういうのが欲しいな」って思ったとき「作ってみないか」とオファーをいただくのですが、いつも最初はお断りしています。テレビに出演したときも「情熱大陸」(TBS系ドキュメンタリー番組)が初テレビだったのですが、「なんでテレビに出なくちゃいけないの」って断りました。でも、周りの人たちが後押ししてくれるんです。だからもう一度自分の中で「なんでみんなは出た方がいいって言ってくれるんだろう」って考えるようにしています。今回のブランドを立ち上げるときもそういう考え方に近いのかなって思っています。なんでも毛嫌いして断るのではなく、1回自分の中で受け止めてみて、できることはなにか考えたときに「表現してみたいことある」って思ったんです。ただ実際はやはりものすごく難しい。モノ作りのディレクターで1番難しいのはアパレルだと思っています。
― なにが難しいと感じるのでしょうか?
益若さん:答えがないということ。コスメはいいモノの答えがあるじゃないですか。落ちにくい、発色がいい、肌に優しいとか。でも、お洋服は人によって好みがバラバラで、自分の個性を表現するものだから、生地の質がいい、ラインがキレイというのはわかるけど、そのデザインを受け入れてもらえるのかはわかりません。そして、私が作っているお洋服はそこまでトレンドに沿っているわけではないんですよね。本当はもっとトレンドに乗った方がいいと思うのですが、私は古臭くなっちゃうお洋服が嫌で、1つ買ったら来年も着たいって思ってもらえるようなモノ作りをしています。せっかくお金出して買ってもらうのだから、宝物のような感覚でみなさんに着てもらいたいなと思いながらデザインを考えています。
「EATME」ディレクターのやりがい&苦労、そして今後の目標
― 2年を振り返ってみて、やりがいや苦労したことを教えてください。
益若さん:EATMEのお洋服を着ている人や、ショッパーを持っている人を街で見かけるとやりがいを感じます。自分が作ったお洋服だから、すぐにわかるんですよね。それに、目の前で試着して買ってくれたり、「デートに着ていきます」「彼がEATMEのお洋服をすごく喜んでくれた」とか、そういう声を聞くとすごく嬉しくなります。女の子に生まれたからには、楽しんでもらいたくて、良い情報を得られたらみんなに共有して、みんなとキレイになりたいから、私はモノ作りをしています。お客様の反応を直接見れるのでEATMEをやっていてよかったなと思います。
逆に苦労したことは、この路面店を出店すると決まってから、家賃、内装費などで、最初は赤字ばかりだったこと。そういった意味でも大変でした。あとは、デザインが王道の売れ線ではないので、「そのジャンルってありなの?」って社内スタッフに言われるんですよね。「もっと普通の服作りなよ」って説得されるんですけど、「嫌だ」って言います。それをやるなら、他のブランドで買えばいいし、私がディレクターを降りてもいいと思っています。もちろんほかの方の意見は聞きますけど、自分がやりたい要素は捨てたくないなと思って、日々戦っています(笑)。全部の意見を聞いてしまうと、お洋服ってなにが正解なのかわからなくなってしまうので。買ったときの充実感や着たときの喜びを得られるお洋服を提供することを第一に、そういうお洋服を作っていきたいです。
― 今後の目標を教えてください。
益若さん:ここ原宿って海外の方もたくさん来て下さる街です。アジアだけでなく、アメリカやヨーロッパなど、この世界観が好きと言ってくださる海外の方が多いので、海外展開していきたいなと思っています。もちろん日本でもですが、いろんな方がこのジャンルを着てみたいと思ってもらえたら嬉しいです。
「EATME」で働くためには
― 益若さんがEATMEで一緒に働きたいと思う子はどのようなタイプですか?
益若さん:ショップスタッフだったら、礼儀があって人当たりがいいというのはもちろんですが、自分の意見をきちんと言ってくれる人がいいなと思います。話し合わないと良いモノは作れません。でもただ否定するのではなく、どこがダメなのかきちんと言ってほしいですよね。「じゃあ、これをこうやったらいいんじゃないですか?」って一歩先まで発言してくれる人が仕事の良きパートナーだと思っています。
― 10代20代の女の子は仕事選びで悩んでいる子が多いと思います。そういう方たちにアドバイスをお願いします!
益若さん:どんな仕事に就いても辛いことは必ずあると思います。楽な仕事はないと思ってください。私も好きなモノを作れるようになるまでには、葛藤の日々です。経験や実績が問われることが多いので、自分の意見を通すために売れようと思ったんですよね。そして最高に良いモノを作ろうって。そこが私のモチベーションだったので、負けたくないって思いました。そういう気持ちがすごく大切ですが、意見を通すためには自分がちゃんと努力をしなくてはいけません。それが当たり前と思ってやった方が挫折はしないと思います。辛くて当たり前、けど、辛い方が楽しい。楽じゃない方が楽しいって。
夢を叶える秘訣を語る
― 夢を追いかけている女の子に向けて夢を叶える秘訣を教えてください。
益若さん:例えばアパレル業界で働くことが夢だったら、ゴールは人それぞれあると思うのですが、そこに辿り着けないからと言って私には向いていないとは思わず、私にしかできない仕事もたくさんあるってことに気付いてほしいです。その中でも一見華々しく見えるのはディレクターかもしれませんが、私は販売スタッフもとても素晴らしい仕事と尊敬しています。そうどの仕事も素晴らしいところがあるし、その人がいるから会社が成り立っています。アパレル業界って知れば知るほどなくてはいけないポジションがたくさんあるので、自分が1番就きたい職種より、自分が向いていることわかったら、それはそれで1つの夢が叶うと思います。だから諦めないでほしいです。好きなことなら絶対に長続きすると思うので、頑張ってください。
― ありがとうございました。
モデルやタレントとして華やかな表舞台で活躍している姿とは違って、「EATME」ディレクターの益若つばさは完全に“裏方”。今までに見せたことない裏の顔を見せてくれたようでした。
そして、今回特別に益若さんがふとデザインが思いついたときに描いているというノートを見せてくれました!「このデザインがこういう服になるんです」「ワニの絵を描いていると、そこから急にお洋服が思い浮かぶこともあるんです」と。こう目を輝かせながら、話してくれた益若さんは、表舞台で活躍しているときとは違うやりがいという充実感とキラキラ感に溢れていました。
益若つばさ(ますわかつばさ)プロフィール
生年月日:1985年10月13日/出身地:埼玉県/血液型:B型/身長:150cm
17歳で雑誌の街角スナップに紹介されたのをきっかけに某雑誌の読者モデルとして活躍。その後、数多くの表紙を飾りカリスマ読者モデルとして不動の地位を築き、美容やアパレル関連の様々な商品をプロデュースする。当時、彼女の経済効果は100億円を超える。現在においては、海外を含め1,000億円になるとも言われている。2012年には、フジテレビ系列のドラマ「最後から二番目の恋」で、栗山はるか役として女優デビューも果たす。現在は、タレント・モデルとして多くのメディア、媒体で活躍するほか、2014年春、自身が発信するプロデュース能力を買われてEATMEのディレクターに就任する。(modelpress編集部)
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