洋服の生地の種類を知ろう!アパレル店員に必須の商品基礎知識

洋服の生地の種類を知ろう!アパレル店員に必須の商品基礎知識

【アパレル/モデルプレス】念願のアパレル企業へ入社が決まったら、これから始まる毎日への期待感で胸がいっぱいになっていることでしょう。これからはお客としてではなく、プロとして服を扱うことになります。そのため、ただオシャレや流行である、というだけでなく正しい商品知識を身につけることが大切です。今回は入社前にこれだけは知っておきたい商品基礎知識・生地の種類についてご紹介します。

洋服の生地の種類を知ろう!アパレル店員に必須の商品基礎知識(Photo by Africa Studio/Fotolia)

綿(コットン)素材

素材の中でも代表的な綿(コットン)には、様々な特徴やタイプがあります。綿素材の生地の種類をよく使われているアイテムを例に挙げてご紹介します。

綿素材とは、植物の作る綿を糸状に加工して、これを原料として生地にしたものです。丈夫で、吸水性、速乾性があり、防臭機能があり、古くから洋服の素材として使用されてきました。植物由来ということもあり、肌に負担をかけないため、皮膚の柔らかい赤ちゃん用の洋服や用品の素材としても使用されます。

<ブロード(ポプリン)>

コットンの生地でもっともよく見かけるのがブロード(ポプリン)です。平織りの生地で、たて糸とよこ糸に同じ太さの糸が使われているのが特徴です。手触りがよく、見た目にも光沢があります。使う糸は50番手が一般的で、番手は高くなるほど高級感のある生地になります。夏用のジャケットやコットンパンツなどに用いられます。

<オックスフォード>

厚手で、通気性の良いオックスフォードは、斜子織りの生地でたて糸・よこ糸を2本ずつ引きそろえて織られた生地です。織り目がくっきりと見える、丈夫で柔らかい生地です。使われる糸の番手があがるほど光沢と上質感が増し、名称もロイヤルオックスフォード、ピンポイントオックスフォードと特別な呼び方になります。また、オックスフォードシャンブレーという場合には、たて糸は色糸、よこ糸は白糸にして織られたことを意味します。シャツ、ボタンダウンシャツなどのほか、バッグなどの素材として使用されることも珍しくありません。

<ローン>

薄手で、触るとさらりとした手触りのあるローンは一般的に洋服向きの生地です。ブロードと同じ平織りの生地ですが、60番手の糸を用いて作られることが多く、また密度が低いという特徴があります。柔らかく、軽い生地で上品さがあり、女性用の洋服でよく見かける生地です。ワンピースやブラウスなどに使われています。

<シャンブレー>

艶のある薄手のシャンブレーは、たて糸に色糸、よこ糸に白糸を使った平織りの生地です。淡いパステルカラーの美しい光沢が特徴的です。見た目のやわらかさ、手触りの良さから綿の魅力がよくわかる生地です。主にシャツの生地として使われます。

<デニム>

厚手のコットン糸を綾織りに仕上げた生地です。たて糸はインディゴブルー、よこ糸は白糸を使っており、そのため表面はブルーですが、裏面は白色になっているのが一般的です。丈夫な生地で、長期間にわたって使い込むことができます。その中でダメージができることがありますが、その風合いもデニム生地の魅力です。デニムジーンズ、作業着、アウターなどに用いられます。

<バーバリー>

やや厚手で、程よい張りで丈夫なバーバリー生地は綿素材を高密度に織り(急斜文織)、特殊な防水加工を施して作られています。透け感がないため、一枚生地で様々なアイテムの素材として利用できます。ギャバジンの一種ですが、ブランドのバーバリーのコートの生地として登録商標されています。スーツ、コート、シャツ、ワンピースなどに適しています。

<コーデュロイ>

厚手で温かみのあるコーデュロイは冬服用の生地として親しまれています。足袋の生地として使われることが多いですが、その他にもシャツやパンツ、ジャケットに使用されています。多くの人は黒板消として見たことがある生地でしょう。

ウール(毛)素材

羊の毛から作られるウール(毛)素材は、植物由来の綿と違って動物由来の素材ですが、どちらも天然素材です。ここではウール素材の生地の種類についてご紹介します。

ウール素材は綿や絹、麻と同じく天然繊維に分類されます。羊の毛からできるウールは羊の種類や毛質のよってランク分けされます。素材の特性として、冬は暖かく、夏は涼しい、優れた素材です。型崩れやシワ、汚れに強いメリットがある反面、毛玉、縮みができやすいというデメリットがあるので取り扱いに注意が必要です。

<トロピカル>

薄手で、触るとコシがあるトロピカルは丈夫で、洗濯にも強い生地です。トロピカルもしくはトロピカルクロスと呼ばれ、夏向きの生地で、サマースーツの素材として用いられます。

<ポーラ>

風通しが良く、ドライな手触りが特徴的なポーラは、粗い多孔性の平織の織物で、強撚糸が使われて作られるのが一般的です。3本の太い糸で作られているので、しっかりとした安定感がありますが、風通しが良く、高温多湿な夏でも爽やかに着ることができます。ポーラの他に、ポーラー、フレスコと呼ばれることもあります。夏用のスーツ、ジャケット、パンツに用いられます。

<ヘリンボーン>

山形と逆山形が入り混じった模様が特徴的なヘリンボーンは「ニシンの骨」という意味を持つ生地です。見た目がニシンの骨を想起させることから名付けられました。日本では杉綾織りと呼ばれる生地です。厚みのある、しっかりとした生地で、主に男性用のスーツ素材やコート生地として用いられます。

<シャークスキン>

斜めに入ったジグザグ柄が鮫の皮のように見える生地です。このような柄ができるのは、経緯に異なる糸を使っているためです。スーツやベストによく用いられる生地で、特に格調高いブリティッシュスーツに使われることが多いです。

<バーズアイ>

「小鳥の目」という名称通り、円の中に点のある織柄が印象的な生地です。日本名では、古くから「鳥目織り」という名称で親しまれてきました。厚みがある生地で、色合いとしては地色には黒、紺、茶などの濃い色を、点は白い色でできているものです。主に紳士用のスーツ生地として用いられます。

<アムンゼン>

表面にちりめんのような模様ができる織り方が特徴的なアムンゼンは、ハンカチなどの小物素材として用いられる他、スーツ素材としても使われることがあります。たて糸とよこ糸を複雑に交差させる梨地織りは生地の裏表がなく、生地表面に梨のようなざらつきがあることが名前の由来になっています。着物やブラウス、スカートなどに用いられます。

<ビーバー>

厚手に柔らかい手触りのビーバーは、たて糸、よこ糸ともに、メリノ種の紡毛糸を使って作られます。見た目は織り目が見えず、光沢があり、しっかりとした生地で弾力性と保湿性があります。生地の密度が高い割に軽いのが特徴的です。コートや制服などに使われます。

シルク・フィラメント素材

洋服の生地の種類を知ろう/Photo by Stock-Asso

シルク・フィラメント(正絹)の素材は天然繊維の中でも、高級な素材です。ここでは生地の種類についてご紹介します。

高級な生地の代名詞とも言える正絹の生地は、実は種類が多く、産地や織り方によって肌さわりや柔らかさが異なります。絹の糸は蚕の繭から作られますが、その蚕の種類や飼い方によってもできる糸に違いがあります。ただ、いずれの生地でも正絹の場合は高品質なため、高価になる傾向があります。扱いにも注意が必要なため、維持管理にも費用がかかります。それでも、肌馴染みの良さでは他の生地にはない、特別な魅力があります。

<シアー>

薄く、透明感のある生地のシアーはふんわりとした見た目が特徴的な生地です。女性用の生地として広く使用されます。ブラウス、カーディガン、ワンピース、タイツなどに用いられます。

<羽二重(はぶたえ)>

たて糸とよこ糸を交互に交差させる平織りの一種です。通常の平織りがたて糸1本であるのに対して、羽二重は細い2本の糸を用いて織られます。そのため、仕上がりが柔らかく、光沢のある生地になります。和装の裏地や礼装の最高ランクの生地として用いられます。和装の他に、ブラウスの生地として用いられます。

<クレープデシン>

表面に独特のシボがあるクレープデシンは平織りの一種です。女性の丸みのあるボディラインにフィットするドレープ性があり、美しい動きを表現します。フラメンコなどの踊りの衣装の他、ブラウス、ドレスの素材に適しています。

<シャンタン>

たて糸に通常の絹糸、よこ糸に玉糸が使われている平織の生地です。たて糸に比べてよこ糸が太いため、つむぎの様な節が独特の生地感を生み出しています。この模様のため、無地の生地でもおしゃれに見えるのがシャタン生地の魅力の一つとなっています。夏用の女性向けブラウスに適した生地です。

<サテン>

滑らかな手触りと光沢が魅力的なサテンは裏地として使われることが多い生地です。裏地に使われるのはダメージに弱いという理由もありますが、何より肌さわりがよく、服の着心地を良くしてくれるためです。表地として、ドレス、シャツ、コートに用いると上質で華やかな雰囲気になります。

<シフォン>

透け感が特徴的なシフォンは春夏用の女性向けの商品でよく使用されます。別名、絹モスリンと呼ばれることもあります。一般的に絹織物は光沢があるものですが、シフォンの場合は精練する前の生糸を使って平織りにしているため、光沢感がほとんどありません。デリケートな素材ですが、シワになりにくく、ドレープ性があるので、女性らしいラインの服に適しています

実際に触ることが生地の違いを知る早道

いかがでしたでしょうか?洋服を作る時にどの生地を使うのか、ということは非常に重要です。生地によってはイメージした動きや型にならないことがあったり、着心地が悪くなったりすることもあるからです。生地の種類や特性を早く知るためには、やはり実際に触ってみることが一番です。生地の厚さ、重さ、表面の質感、織り目の模様は写真や文字だけでみても違いがわかりにくいことがあるので、機会があれば積極的に触ってみてくださいね。(modelpress編集部)

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