アパレル業界の流通フローが知りたい!川上・川中・川下の仕組み

アパレル業界の流通フローが知りたい!川上・川中・川下の仕組み

【アパレル/モデルプレス】アパレル業界の流通フローは、大きく3つに分けられているのをご存知でしょうか。これらは川上・川中・川下と呼ばれ、それぞれがアパレル商品の材料調達や製造から販売までを支えています。3つの段階それぞれに重要な役割があり、異なる特徴があります。また、新たな流通フローの形式をもつ企業も多くみられるようになってきました。アパレル業界に興味がある方は知っておくべき知識でしょう。今回は、日本のアパレル産業の流通フローを川上・川中・川下とそれぞれの役割に分けて詳しくご紹介し、また新たな流通フローをもつアパレル企業についてもご紹介します。

アパレル業界の流通フローが知りたい!川上・川中・川下の仕組み/Photo by ESB Professional

アパレルの素材を作る「川上」

アパレル産業の流通フローは川上・川中・川下に分けられます。そのうち、まずは「川上」の仕事についてご紹介します。

<国内のアパレル業界は川上・川中・川下に分けられる>

多くの製造業界では、材料の調達から製造、そして販売が一貫して行われます。しかし、アパレル業界に限っては、このような一貫性のある流れは無く、調達・製造・販売の3つの段階を多くの企業が分担して商品を作っています。このようなアパレル業界の特徴的な製造から販売の流れを川に例えて、川上・川中・川下と呼んでいます。

<「川上」はアパレル素材産業を指す>

川上はアパレル製品の材料を作る仕事です。繊維業界や生地業界、テキスタイル産業などを指します。まずは、繊維担当の企業が天然繊維や化学繊維などから素材を選び、糸を作っていきます。次に機屋、またはテキスタイルメーカーなどが糸を組み合わせて生地を作ります。そして、服地卸やテキスタイルコンバーターなどがこれらの生地をアパレルメーカーに卸売りをします。ここまでがアパレル業界における川上の役割です。

商品として新しいものを作る「川中」

続いてはアパレル産業の流通フローのうち、「川中」の仕事や国内の川中の企業の特徴についてご紹介します。

<「川中」はアパレル産業を指す>

川中はアパレルメーカーや卸商、アパレル生産企業を指します。主に商品を企画、デザインして製造する仕事です。商品に必要となる材料は、先程ご紹介した川上の企業に発注します。川上で作られた生地とボタンなどの服資材を組み合わせてアパレル商品を作っていきます。出来上がった製品は自社店舗で売るだけではなく、他の小売店に売ることもあります。

<国内企業はアウトソーシングが多い>

国内のアパレル業界での川中は、製造の大半を国外の工場などの外部に委託(アウトソーシング)しています。したがって、外部の企業とアパレルメーカーや小売店とで様々な取引が必要になります。そこで活躍する川中の企業が、貿易業務を本業とする「商社」です。商社は川中のグループの中で、アパレルメーカーと小売店を繋ぎ、スムーズな製品生産と卸売りを行っています。

消費者に届ける「川下」

川上・川中・川下の役割を紹介/Photo by Sergey Nivens

最後にアパレル産業の流通フローのうち、「川下」の仕事について詳しくご紹介します。また、新たな流通フローの形式をもつSPAについてもご紹介します。

<「川下」はアパレル小売り産業を指す>

川下は店舗やデパート、小売り企業などを指します。川中が製造した商品を仕入れ、消費者に販売する仕事です。川上・川中・川下の3つの役割の中で最も消費者の近くで働きます。消費者の目線で市場を把握できる川下が敏感に消費者の需要を感じ取ることは、川上や川中の製造に大きく関わります。したがって川下はアパレル業界で重要な役割となっています。

<川中と川下を合わせた企業「SPA」>

SPAという言葉を耳にしたことはありますか。SPAとは、「Specialty store retailer of Private label Apparel(製造小売業)」の略称で、材料の調達から商品の企画・デザイン、販売に至るまでの全ての流通フローを自社で行う企業です。つまり、川中と川下の役割を合わせた企業です。SPAは川中と川下の役割を同時に担うことで、様々なメリットがあります。まずは、川上・川中・川下と3段階に分けられることで生じているコストを抑えることが可能になります。また、川下で直接消費者と関わることで得られた市場の需要を、川中の製造へとすぐに反映することができます。これによって、消費者が求めているアパレル商品をいち早く市場に出し、また流行が過ぎた商品の生産量を抑え、効率の良い生産を可能にしています。

川上・川中・川下の流通フローを理解しておくことが重要

いかがでしたでしょうか。アパレル業界はご紹介した川上・川中・川下それぞれが消費者により良い製品を届けるために役割を分担しているのです。また、より効率の良い商品開発のためにSPAなどの新しい仕組みのアパレル企業もよく見られるようになるなど、アパレル業界の構造は進化を続けています。アパレル業界で働きたい方は、自分が川上・川中・川下のどの仕事をしたいのか、また就職を検討している企業がどの役割を担っているのかしっかり調べ、日々変わりゆくアパレル業界の最新の情報をキャッチしておきましょう。(modelpress編集部)

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