【アパレル/モデルプレス】着るものや洋服、ファッションに興味があるという場合、大きく分けて二つの仕事があります。それは、常に新しいものを作り出す仕事と、古くから伝わるものを維持して継承する仕事です。一般的に、華やかだと思われるのは前者の新しいファッションに関わる仕事の方ですが、後者の伝統的な装いに関わる仕事の中にも華やかさがあります。中でも、和装文化には日本特有の豊かな四季が表現されています。今回は、そのような和装文化を継承する職業の魅力と就業する方法について紹介します。
着物にかかわる仕事の魅力
現代の日常の装いは洋服が主流ですが、重要な場で好まれるのはやはり着物でしょう。ここでは、着物に関わる仕事の魅力について紹介します。
<人生の節目に携われる>
多くの人は、普段着として洋服を着ていますが、大切な場や人生の節目には洋服ではなく、着物を選ぶ人は少なくありません。例えば、正月、成人式、卒業式、結婚式など、季節や人生の節目には着物姿の人を目にする機会も多くなります。着物の仕事に関わるということは、このような時期としての節目や、その人の人生の節目に携わることを意味します。特に、成人式や結婚式は、人生の一大イベントです。実際に、和装の仕事に携わっている人は、このようなイベントに立ち会い、お客さんが喜んでいる姿を見ることにやりがいを感じている人が多いのです。
<日本の伝統文化を継承できる>
着物に関係した仕事は洋服関係の仕事に比べて少なく見えるかもしれません。たしかに、多くの人が日常的に着るのは洋服なので、必然的に着物に比べて洋服の方が、絶対的な仕事の量は多くなります。つまり、和装に関わる仕事は市場として洋服に比べて小さく、就業できる可能性も低いと思われています。しかし、日常的に着る機会は減っていても、着物は文化として、しっかり根付いており、そういう意味では、昨日今日できた新しいブランドに比べて、消えてなくなることはありません。また最近では、年の始まりである新年に着物を着る、夏の浴衣を楽しむなど、若者を中心に和装に興味を持つ人も増えています。いわば、一周回って新しいものとして、新たな価値が付加され注目されています。
<海外からの注目も高い>
最近、和装に関心を持つ若者が増えてきていますが、それは世界的に日本文化が注目されるようになったことと関係があります。国際的に活躍する日本人が授賞式などの式典に和装で参加したり、海外で活躍するアーティストが和装をモチーフにした姿で人前に出たりする機会も増えています。このような時代の流れもあり、和装は古いもの、堅苦しいもの、というマイナスなイメージは払拭され、日本ならではのおしゃれとしてポジティブなイメージが定着しつつあります。
着物にかかわる職業
着物の全般的な魅力やイメージの良さがわかったところで、実際に着物にかかわる職業についてご紹介します。
<着付け師>
着物で成人式や結婚式に参加したことのある人にとって、和装に関わる仕事として最も馴染みがあるのは着付け師でしょう。着付け師の仕事は和服を手早く、美しく着せることです。美容院、写真館、呉服屋などの専属スタッフになるのが主流ですが、免状を取得すれば、自宅で着付け教室を開くことができます。
<和装スタイリスト(着物コンサルタント)>
洋服でも着る季節に合わせて、デザインや生地を選ぶのが普通ですが、この場合の季節は単に温度変化に対応したものに変える、という意味合いが強くなります。しかし、和装の場合にはその季節に咲く花、鳴く鳥、風景など、その季節や機会に合わせて、その場にふさわしいコーディネートが必要となります。和装は着方が難しいと言われていることが多いですが、実は和装で難しいのは着方よりも、適切なコーディネートをすることです。和服専門のスタイリストは、このようなシチュエーションや季節に合わせてコーディネートする仕事です。着物、帯、小物など着物に関する全般的なコンサルタントを手がけ、有名になると、雑誌でのコーディネートや有名人の着付けを依頼されることもあります。
<和裁士>
和装の仕事として、和裁士という和服を仕立てる仕事もあります。主に、着物メーカーや和服仕立て所などで働くことになります。ただし、和装を仕立てるスキルが十分に身に付いて、一人で仕事が請け負えるようになれば、フリーランスとして働くことも可能です。
<染色家>
着物を作るための布で規定のサイズのものを反物と呼びます。染色家はこの反物の柄をデザインして染めることを仕事にする人のことです。反物の染め方には、友禅染め、絞り染めなど伝統的な染め方がたくさんあり、それぞれの手法や素材に合わせて染め上げる技術が求められます。最近では、日本の染色家の技術は海外のテキスタイルメーカーにも注目されています。
着物にかかわる仕事を目指すには?
着物に関わる仕事についていくつか紹介してきました。ここでは着物にかかわる仕事を目指す方法についてご紹介します。
<和裁や服飾系の専門学校、着物教室などで和服のスキルと知識を学ぶ>
着物に関わる仕事を目指しているのなら、着物について基本的なことを知っておく必要があります。かつては、毎日のように着物を着ていたので、自然と身につく知識もありましたが、最近では日常的に着物を着る機会が減ったため、和装の知識をきちんと学ぶ必要があります。その中でも、簡単なとっかかりとして、まずは自分で着られるようになることを目指しましょう。本格的に学校に入る前に、無料の体験教室を利用するのも良いでしょう。
<着物メーカーや呉服店、結婚式場、和装工房などに就職する>
具体的に和装の仕事で「これがしたい!」というものが定まっておらず、純粋に着物に関わることがしたい人には、着物を扱う企業への就職がおすすめです。着物を扱う企業には、小さくて、歴史のある古い企業しかないと思っている人もいますが、一般的なアパレルメーカーやテキスタイルメーカーでも和服を取り扱う企業はあります。これらの企業の和装に関わる部署に入るというのも手段の一つです。このような企業へ就職することは、未経験でも働きながら技術を身に付けられるというメリットがあります。
<一般的な接客マナーは必須>
着物に携わる仕事をするためには、お客様のことを知ることが大切です。和装で行うものは、茶道、舞妓など日本の伝統芸能に関わるものが多くあり、必然的にこのような道に関係する人と会う機会も多くなります。このような人たちとの関わりにおいて、和装を取り扱う人として、和装の知識だけでなく、礼儀作法や言葉遣いが求められることは知っておきましょう。
和装の関係の仕事のやりがいは和装文化の継承を担えること
いかがでしたでしょうか?日常的に着ることが少ない和装ですが、その価値や魅力は日本文化の良さの一つとして世界的に知られるようになっています。そのため、和装に関係する仕事は今後、ますます注目されることになるでしょう。しかし、和装の仕事が他の仕事に比べて、難しいとか、大変というわけではなく、仕事としては、関連する知識、技術とも他の仕事と同様に熱意と情熱を持って挑めば誰でもなれる仕事です。ただ、和装に携わる仕事には文化を継承するという誇りがあります。伝統的なことを行うことは同じことの繰り返しで、地味な作業のように思われますが、連綿と続いてきたことを自分の代で絶やすことなく、そして次代に引き継ぐこと。これは、時代によって生まれたり、無くなったりするような仕事にはない充実感とやりがいになります。お金を稼ぐ手段としての仕事は多くありますが、その仕事によって成せることに納得できるかどうかは自分の価値観によるものです。どんな仕事がしたいのか、何が向いているのか、ということに迷った時、ぜひ、その仕事の先にあるものまで意識して選んでみましょう。(modelpress編集部)
【Not Sponsored 記事】
実際に働いている人の声は?
-
「THE NORTH FACE」店長インタビュー 育休復帰後もキャリアを目指す理由「ひとつの指針になれたら…」
THE NORTH FACE
-
「studio CLIP」インタビュー 販売スタッフからEC担当に…やりがい&苦労は?
studio CLIP
-
「apart by lowrys」EC担当インタビュー 店舗スタッフから本社勤務までの道のり…接客ロープレ大会で受賞も
apart by lowrys
-
<伊藤千晃インタビュー>「KIKI AND DAYS」立ち上げのきっかけとは?ディレクター業に迫る
KIKI AND DAYS
-
「ボタニスト」店長インタビュー 仕事内容・やりがい&苦労を語る
BOTANIST