アパレル業界は、就職先や転職先として、もっとも人気のある業界の一つです。販売員やデザイナーなど、様々な職種も存在しています。そこで、本稿では、「アパレル業界」の全般について、ご紹介していきます。まず、「アパレル業界の基礎知識」について、確認していきます。次に、「アパレル業界の代表的な職種」について、ご紹介していきます。そして、「アパレル業界を目指すときに必要なこと」について、ご紹介していきます。
アパレル業界の基礎知識
アパレル業界に関する基礎的な知識とは、どのようなものなのでしょうか。まずは、「アパレル業界の基礎知識」について、ご紹介していきます。
<アパレル業界とは?>
「アパレル業界」とは、一般的には、衣料品のデザインや製造、販売、物流などに携わる産業の全般を指す言葉です。そして、アパレル業界の企業は、「アパレルメーカー」「小売業」「SPA」などに分類されます。アパレルメーカーは、主に、洋服やアクセサリーのデザイン、製造を行います。小売業は、主に、商品の販売を担います。SPAは、企画からデザイン、製造、販売までを手掛けます。
◆国内のアパレル市場は、縮小傾向
昨今、国内のアパレル市場は、縮小傾向にあるといわれています。例えば、繊維産業は、1994年には、15兆円ほどの規模でしたが、2010年以降については、10兆円ほどの規模にまで縮小してきています。
◆国内の繊維産業の供給量は、増加傾向
しかしながら、国内の繊維産業の供給量については、増加傾向にあるようです。実際に、バブル期には、26億点ほどの規模でしたが、2010年には、50億点ほどの規模にまで増加しました。2014年以降については、減少傾向にありますが、35億点以上の規模となっています。
◆衣料品の購入単価・輸入単価は、低下傾向
衣料品の購入単価・輸入単価については、低下傾向にあるようです。これは、衣料品の供給量については、増加しているものの、衣料品の価格については、全般的に低価格になってきているという見方をすることができるでしょう。
◆アパレル業界におけるEC市場は、拡大傾向
アパレル業界におけるEC市場は、拡大傾向にあるようです。実際に、2013年には、1.16兆円ほどの規模でしたが、2017年には、1.65兆円ほどの規模にまで拡大してきています。これには、昨今の衣料品のオンラインショッピングの普及が、大きく影響していると考えられます。
【出典】「繊維産業の課題と経済産業省の取組」(経済産業省、2018年6月)
https://bit.ly/3aOyEFO(P.12, 27)
<アパレル業界の歩み>
衣類は、戦前にはオーダーメイドによって作られることが一般的でした。1960年代からは、「既製品」としての衣類が普及し始めます。そして、1970~80年代にかけて、「ファッション」が、徐々に「ビジネス」として発展し始めます。1970~80年代には、世界の主要なブランドと日本企業とのライセンス契約の締結が進みました。「DCブランド」が誕生して、一世を風靡します。DCブランドとは、designer’s and character brandの略称です。これは、企画から販売まで、デザイナーの明確なコンセプトに基づいて打ちだされたブランドを指します。1990年以降には、消費者が、「自分の好みの服」を選ぶことができる時代に突入します。この背景としては、主に、「インポートブーム」や「セレクトショップの台頭」が、考えられるでしょう。近年は、インターネットの普及などによって、「EC市場の拡大」や「大手企業によるアパレル商品の低価格化」が進んでいます。また、「ファストファッション」というビジネスモデルを採用する企業も登場して、一定の支持を獲得しています。ちなみに、ファストファッションとは、流行を取り入れた低価格の商品を短いスパンで販売していくというビジネスモデルです。
◆新テクノロジーの導入が増加
昨今、アパレル業界においては、「EC市場の拡大」からもわかるように、新テクノロジーに注目する企業が増えてきています。実際に、新テクノロジーの導入も増加傾向にあるようです。新テクノロジーは、1.アパレル店舗とECサイトとの連動、2.消費者のニーズへの細やかな対応など、さまざまな目的のために活用されています。例えば、1.オンラインの試着ツール、2.製造工場とアパレル企業とのマッチングサービスなどを挙げることができるでしょう。
◆ビジネスモデルの多様化
昨今、アパレル業界においては、「d2cブランド」の台頭など、ビジネスモデルの多様化が顕著になってきています。アパレル業界におけるビジネスモデルの多様化は、今後も進んでいくと考えられるでしょう。
アパレル業界の代表的な職種
アパレル業界には、どのような職種が存在しているのでしょうか。それでは、「アパレル業界の代表的な職種」を9つご紹介していきます。
<販売員(ショップスタッフ)>
アパレル業界の代表的な職種の1つ目は、「販売員(ショップスタッフ)」です。販売員(ショップスタッフ)は、店頭において、お客様に対して、商品をお勧めしたり、コーディネートのご提案をしたりします。主に、「接客・レジ業務」「顧客開拓」「顧客データの管理」「商品の検品」「在庫管理」「商品・店舗レイアウトの作成」などを担当します。
<デザイナー>
アパレル業界の代表的な職種の2つ目は、「デザイナー」です。デザイナーは、商品を生産するためのデザインや企画を行います。主に、「商品の企画」「仕様書の作成」「生地・素材選び」「サンプル依頼」「コストの交渉」などを担当します。
<バイヤー>
アパレル業界の代表的な職種の3つ目は、「バイヤー」です。バイヤーは、商品の仕入れを行います。主に、「商品の買い付け」「商品の価格設定」「商品に関する勉強会の開催」「納期の管理」「販売計画の作成」「売上の分析」などを担当します。なお、商品の買い付けの際には、海外に出向くこともあります。
<パタンナー>
アパレル業界の代表的な職種の4つ目は、「パタンナー」です。パタンナーは、デザイナーが作成したデザインを基にして、パターン(型紙)を作成します。ちなみに、パターンとは、アパレル業界においては、衣服を製作するための型紙のことを指します。
<マーチャンダイザー(MD)>
アパレル業界の代表的な職種の5つ目は、「マーチャンダイザー(MD)」です。マーチャンダイザー(MD)は、製品や顧客動向、トレンドなどについて、さまざまな調査分析を行うことによって、商品開発から販売計画立案まで、一括して管理をします。主に、「市場・トレンドの調査分析」「売上の分析」「シーズンテーマの作成」「売上・予算の設計」「商品の価格設定」「生産計画の作成」などを担当します。
<プレス>
アパレル業界の代表的な職種の6つ目は、「プレス」です。プレスは、広報・宣伝担当として、ブランドや商品のイメージアップや認知拡大を目指します。主に、「PR活動」「商品サンプルの管理」「スタイリストとの打ち合わせ」「広告制作」「雑誌の原稿チェック」「展示会の準備」「プレゼン資料の作成」などを担当します。
<生産管理>
アパレル業界の代表的な職種の7つ目は、「生産管理」です。生産管理は、デザインが決定した商品の生産量・素材・価格・納期などについて、一括して管理をします。主に、「縫製工場の選定」「素材調達」「生産管理」「原価交渉」「納期管理」「工場管理」などを担当します。
<マーケティング>
アパレル業界の代表的な職種の8つ目は、「マーケティング」です。マーケティングは、市場調査を行い、販売戦略を立案します。そして、販売戦略と「販売方法」「広告」「プロモーション」などとの連動を進めます。したがって、マーケティングは、立案した販売戦略をもとにセールスプランを実行、その後、販売結果を検証して、再び、新たな販売戦略を立案していくことになります。
<品質管理>
アパレル業界の代表的な職種の9つ目は、「品質管理」です。品質管理は、商品が、品質管理基準を満たしているかどうかについて、調査・管理をします。商品の素材などの試験をすることによって、品質表示タグのチェックなどを行います。なお、代表的な品質管理基準としては、「JIS(日本産業規格)」を挙げることができるでしょう。
アパレル業界で働くために必要なスキル
アパレル業界で働くためには、どのようなスキルが必要になるのでしょうか。それでは、「アパレル業界で働くために必要なスキル」について、主なスキルを4つご紹介していきます。
<コミュニケーションスキル>
アパレル業界で働くために必要なスキルの1つ目は、「コミュニケーションスキル」です。アパレル業界においては、どのような仕事であっても、1.考えや指示を適切に伝えるスキル、2.依頼や要望を正確に理解するスキルなどが求められます。例えば、1.アパレル店舗における接客、2.取引先との交渉、3.関係者との打ち合わせなどの場面においては、コミュニケーションスキルは、必須となるといえるでしょう。
<マネジメントスキル>
アパレル業界で働くために必要なスキルの2つ目は、「マネジメントスキル」です。ここまでご紹介させていただいたように、アパレル業界には、とても多くの関係者が存在しています。関係者を適切にマネジメントすることができなければ、担当する仕事を円滑に進めることは、難しいでしょう。特に、アパレル店舗の店長などには、高いレベルのマネジメントスキルが求められるといえるでしょう。
<情報収集力・分析力>
アパレル業界で働くために必要なスキルの3つ目は、「情報収集力・分析力」です。昨今のインターネットの普及などによって、アパレル業界においても、さまざまな情報があふれるようになってきています。また、トレンドの移り変わりについても、より激しいものとなってきています。したがって、必要な情報を収集して、正しく分析することができなければ、担当する仕事も誤った方向に進んでいってしまうでしょう。特に、マーチャンダイザー(MD)やマーケティングには、高いレベルの情報収集力・分析力が求められるといえるでしょう。
<デザインスキル>
アパレル業界で働くために必要なスキルの4つ目は、「デザインスキル」です。アパレル業界において、デザインに関係のない仕事は存在しないといっても、過言ではないのではないでしょうか。例えば、プレスであれば、広告制作などの際には、デザインスキルが必須となります。デザインスキルが必要なのは、デザイナーだけではないのです。
アパレル業界を目指すときに必要なこと
アパレル業界を目指すときには、どのようなことが必要であると考えられるのでしょうか。それでは、「アパレル業界を目指すときに必要なこと」について、主なものを2つご紹介していきます。
<企業研究を行う>
アパレル業界を目指すときに必要なことの1つ目は、「企業研究を行う」ことです。企業研究を行うことによって、企業の「特徴」「強み」「弱み」などを知れば、企業に対する理解を深めやすくなるでしょう。企業によって、「業態」や「特色」は様々です。「収入」や「仕事内容」も大きく異なります。企業のホームページや就職情報誌などから、しっかりと情報を得るようにしましょう。最新の業績などをチェックすれば、「将来性」も見極めやすくなるでしょう。
<自分の特性を理解する>
アパレル業界を目指すときに必要なことの2つ目は、「自分の特性を理解する」ことです。アパレル業界には、たくさんの職種が存在しています。また、「接客」「買い付け」「商品企画」など、仕事の中身も様々です。十分な自己分析を行ってから、希望する職種を考えれば、自分の特性に合った職種を見つけやすいでしょう。「興味のある分野」や「将来のビジョン」などについて、具体的に考えるようにするとよいでしょう。
アパレル業界への転職は、業界・企業研究を入念に
いかがでしたでしょうか?ここまでご紹介させていただいたように、アパレル業界には、たくさんの職種が存在しており、仕事の中身も様々です。アパレル業界は、「奥の深い業界」であるといっても過言ではないでしょう。就職先や転職先として、アパレル業界を志望している方は、本稿を参考にして、アパレル業界に対する理解を深めていってください。(modelpress編集部)
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