VMDの基本的な要素とは?売り上げを左右する店舗設計のノウハウ

VMDの基本的な要素とは?売り上げを左右する店舗設計のノウハウ

アパレル店にとって売り上げをあげることは経営面からみて何よりも重要なことです。そのために必要なのは質の高い服やアイテムを揃えることだけでなく、それらの商品をいかに配置するのかということも売り上げを伸ばすためには不可欠な要素です。今回は店舗設計をするときに役立つVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の基本的な要素とノウハウについてご紹介します。

VMDの基本的な要素とは?売り上げを左右する店舗設計のノウハウ/Photo by SnvvSnvvSnvv

VMDの役割

ここでは店舗設計におけるVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の役割についてご紹介します。

<VMDは「ビジュアルマーチャンダイジング」という意味>

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の意味を考えるとき、まずはMD(マーチャンダイジング)について知る必要があります。MDとは、商品の販売計画(企画や意図)のことです。具体的にはお客様が求めるものを、適切な価格と数量、そしてタイミングで提供することを指します。VMDはそのMDを視覚化(ビジュアル化)することです。つまり、VMDは視覚的に訴えかけて、客の購買意欲を上げるマーケティング手法のことです。

<VMDに必要な要素を「MP」という>

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)要素としてMP(マーチャンダイズプレゼンテーション)があります。MPは店舗を設計するときにお客様に「買いやすい」と思ってもらえるよう配置をデザインすることです。実際に、VMDを行うときに必要なMPには3つの要素から成り立っています。

VMDを構成する「MP」の3つの基本要素

VMDとMPの概念と役割がわかったところで、ここでは実践するときに意識したい「MP」の3つの基本要素についてご紹介します。

・VP(ビジュアルプレゼンテーション)

店舗の「顔」とも呼ばれるのがVPです。VPは店舗のコンセプトやブランドイメージを視覚的に表現します。主力商品や新商品を配置して興味をひき、店内へ誘導する役割を担っています。

<VPのエリア>

VPはショーウインドーや入り口近くなど、店舗の前を通りかかった人が入りやすい場所に設置されることが多いです。また、大型店のエスカレーター前のディスプレイなど人目を引く場所や動線上もVPに適した場所です。

・PP(ポイントプレゼンテーション)

PPとは新商品や主力商品など、特に売りたい商品のディスプレイのことです。VPを見て入店した客が長く店内に滞在することを意識するのが設置のコツです。

<PPのエリア>

PPを設置するのに適した場所は、柱まわりや壁面、目線に入りやすい位置にある棚などです。周囲に視線が奪われるようなものがないのが理想的なPPエリアです。

・IP(アイテムプレゼンテーション)

IPはアイテム別、デザイン別、サイズ別などによって商品を分類して陳列することです。お客様に見やすく、手に取りやすくするのがコツです。一般的な売り場で最も多いのがIPエリアになります。

<IPのエリア>

PPを見て、商品に関心を持ったお客様が商品をすぐ手に取れる場所です。棚やハンガーラック、ガラスケースなど、PPの近くにあるとより効果的と言われています。

・MPそれぞれの役割と流れ

MPの3つの役割をまとめると、(1)VPで店舗や売り場に立ち寄る人を増やす、(2)PPでディスプレイや陳列棚の前に立ち止まる人を増やす、(3)IPで客の購買意欲を湧かせ欲しい商品と出会う確率を高めるという流れになります。このように、MPはVP、PP、IPとなるにつれてお客様の意識を自然に商品に向けさせて、購買行動に繋げることを目的としています。

VMDのポイント

ここからは正しいVMDの基本知識と、VMDを実践するときに意識したいポイントについてご紹介します。

<VMDとディスプレイの違い>

VMDとよく混同される言葉として、ディスプレイがあります。ディスプレイは、商品を棚に陳列し演出まで行うことで、商品が良く映えるように飾り付けることです。あくまでも軸となるのは商品です。

一方で、VMDは、店舗やブランドの価値を視覚的に伝えるためのものです。具体的な商品でなく、マーケティング手法の一つであり、システムの一つです。

<すべての商品を視覚的に効果的に見せる>

VMDにはシステムとしての意味のほかに、職業としても存在します。職種としてのVMDは、売場作りのスペシャリストを意味します。ブランドや企業の世界観、イメージを表現することが主な仕事になります。同じブランドでも、シーズンによってVMDのプランや見せ方が変わるため、そういう意味では終わりのない仕事といえるでしょう。

<MPでゴールデンスペースを意識する>

システムとしてのVMDを実践する際、MPのゴールデンスペースが一つのキーとなります。ゴールデンスペースとは、お客様の目線がいきやすい場所のことです。一般的に高さは60cm~130cmの目線より少し下になる位置になります。この高さに一番売りたい商品を効果的に配置することで、売り上げを大きく伸ばす可能性を高めることができます。

VMDに向いている人の特徴

VMDの基本的な要素とノウハウを紹介/Photo by GoncharukMaks

VMDには、どのような人が向いているのでしょうか。それでは、VMDに向いている人の特徴について、3つご紹介していきます。

<コーディネートが上手い>

VMDに向いている人の特徴の1つ目は、コーディネートが上手いということです。一般的には、コーディネートのセンス・スキルがある人は、VMDに向いているといわれています。なぜならば、VMDには、それぞれのアイテムの特徴を理解したうえで、バランスよく配置していき、演出する能力が求められるからです。

<売り場のディスプレイに興味がある>

VMDに向いている人の特徴の2つ目は、売り場のディスプレイに興味があるということです。一般的には、アパレルショップにおけるアイテムの演出・空間づくりに興味がある人は、VMDに向いているといわれています。なぜならば、VMDには、ブランドの世界観に合わせた演出・空間づくりをする能力が求められるからです。具体的には、1.売り場のゾーニング、2.ポップの配置、3.演出用の小物の配置などを挙げることができるでしょう。

<「お客様視点」を持っている>

VMDに向いている人の特徴の3つ目は、「お客様視点」を持っているということです。一般的には、お客様に寄り添った視点を持つことができる人は、VMDに向いているといわれています。なぜならば、VMDには、お客様がショッピングを楽しみやすい売り場を構築する能力が求められるからです。したがって、「お客様視点」を持つことが、とても大切になるのです。具体的には、「お客様が店内を周回しやすくなっているか?」「お客様が商品を手に取りやすくなっているか?」「おすすめの商品は、お客様からわかりやすい位置に配置されているか?」などについて、正しく分析するスキルが求められるでしょう。

VMDの仕事に役立つことが期待される資格とは?

VMDの仕事には、どのような資格が役に立つと期待されるのでしょうか。それでは、VMDの仕事に役立つことが期待される資格について、2つご紹介していきます。

<商品装飾展示技能検定>

VMDの仕事に役立つことが期待される資格の1つ目は、「商品装飾展示技能検定」です。商品装飾展示技能検定では、VMDの考え方をもとにして、マーチャンダイジングを視覚的にお客様へ伝えるためのプレゼンテーションを学びます。具体的には、1.ビジュアルプレゼンテーションデザインの基礎、2.商品の特性に応じたプレゼンテーションの手法などについて、学んでいくことになります。なお、商品装飾展示技能検定には、1級から3級まであります。

<VMDインストラクター>

VMDの資格に役立つことが期待される資格の2つ目は、「VMDインストラクター」です。VMDインストラクターでは、売り場づくりのルールを習得して、それを他人に教えることができるレベルを目指していきます。VMDに関する理論化されたスキルを学ぶことによって、実践的なスキルを身につけることができるでしょう。具体的には、1.売り場のゾーニング、2.商品ディスプレイ、3.ポップの作成方法、4.ポップの演出方法などについて、学んでいくことになります。

「VMDは、経験が何よりも大事な仕事!」

いかがでしたでしょうか?アパレル店員は接客の上手さを求められることが少なくありません。実際に憧れの店員がいることでお客様が来てくれることもあります。しかし、お客様によっては店員の接客トークではなく、自分で購入するものをしっかり見て選びたいと考える人もいます。VMDはそのようなお客様に、商品の配置と魅力で購買意欲を高めるためのマーケティング手法です。ポイントはお客様が商品を見るという空間と機会を「自然に」演出することです。VMDの基本を理解してお客様と商品の素敵な出会いを演出できる店舗を目指してください。(modelpress編集部)

実際に働いている人の声は?

関連記事

この記事の関連ブランド記事