アパレル販売員を目指す人にとって、気になることの一つが「ノルマ」なのではないでしょうか。「ノルマってきつそう」という先入観から、アパレル業界に対して尻込みしてしまうというケースも少なくないようです。ただ、昨今では、ノルマ制度を導入していないことを求人でアピールする企業も増えているなど、そのイメージは、昔のものにもなりつつあるようです。そこで、本稿では、ノルマのメリットとデメリットや店舗売上と個人目標の違いなど、アパレル業界のノルマの実態について、ご紹介していきます。
アパレル店舗のノルマ制度
アパレル店舗のノルマは、どのような制度になっているのでしょうか。まずは、「アパレル店舗のノルマ制度」について、ご紹介していきます。
<アパレル業界では、たいていノルマが存在する>
アパレル業界においては、多くの場合、ノルマが存在します。昨今では、個人に割り当てられるノルマは設定されていないというケースも増えてきているようですが、各店舗の売り上げ目標などについては、多くの企業に存在しています。そして、売り上げ目標を意識して仕事に臨むように求められることになります。
<ノルマの決め方>
ノルマは、2パターンに大別されます。まず、1つ目は、あらかじめ本社から指定されているノルマです。そして、2つ目は、店長が必要な利益から逆算して設定しているノルマです。ノルマは、基本的には、前年の売り上げから算出されます。なお、個人ノルマの場合には、個人の地位や勤続年数によって、課されるノルマに差が出てくる企業も少なくないようです。そのため、基本的には、立場が上がれば上がるほど、それ相応の接客スキルなどが求められるということになります。
<ノルマを設定する理由>
ノルマは、販売員にとって、「嬉しい制度」ではないでしょう。それでは、なぜノルマが設定されているのでしょうか。それは、ノルマを設定すれば、店舗の売り上げのアップに繋がるからです。ノルマが設定されないまま店頭に立つことは、楽に思えるかもしれませんが、目標が無いため、漫然と働いてしまいがちです。ノルマがあることによって、それに向けて努力したり、接客を改善したりすることができるため、販売員としてのスキルアップにつながります。また、転職をするときには、ノルマの達成度や売り上げの順位などは、アピールすることができるポイントにもなります。つまり、仕事に対して前向きに臨むことができる目標ができ、かつ仕事のやりがいにもなるため、ノルマが設定されているのです。
店舗ノルマと個人ノルマの違い
店舗ノルマと個人ノルマには、どのような違いがあるのでしょうか。それでは、「店舗ノルマと個人ノルマの違い」について、ご紹介していきます。
<店舗ノルマ>
昨今では、従業員の精神的ストレスなどを考慮して、個人にノルマを割り当てない企業も増えてきているようです。しかしながら、店舗ノルマについては、課されているところがほとんどであるといってよいでしょう。ちなみに、店舗ノルマは、店舗全体の売り上げ目標として設定されています。
<店舗ノルマのメリット>
店舗ノルマがあることによって、月にどれだけ販売すればよいのかについて、可視化することができます。そして、その数字から逆算することによって、一日の売り上げがいくらあればよいのか見えてくるでしょう。また、店舗としてのノルマを達成するためには、販売員同士のチームワークが必要不可欠になります。販売員同士が協力することによって、お互いが足りないところについては、補わなければならないこともあるでしょう。そのため、店舗の団結力は、店舗ノルマの設定によって、高まる傾向にあるようです。
<店舗ノルマのデメリット>
店舗ノルマは、個人の頑張りや成果が目に見えて分かりにくいため、「仕事に張り合いが出ない」などの声が出てしまうこともあります。どれだけ個人が頑張っても、店舗単位で目標が共有されてしまえば、「自分が頑張らなくても…」などのように思ってしまうケースも少なくないようです。
<個人ノルマ>
達成した売り上げが個人の成績として評価されるのが、個人ノルマです。なお、個人ノルマの設定のされ方は、「店舗の売上目標÷販売員の人数=個人ノルマ」という計算式であることが多いようです。
<個人ノルマのメリット>
やはり個人ノルマの最大のメリットは、仕事に対してモチベーションが高まることでしょう。個人ノルマは、店舗ノルマに比べて、ノルマ達成のためにやるべきことが明確になるため、何をやればよいのかについて、一目瞭然となります。加えて、個人ノルマは、そのノルマの達成度から、販売員を評価しやすくなるため、管理職が指導や評価をきめ細かく行いやすくなるというメリットもあります。なお、個人ノルマ達成者には、インセンティブを支給している企業もあります。
<個人ノルマのデメリット>
しかしながら、個人ノルマの設定によって、販売員同士の顧客獲得競争が起きてしまうことも少なくないようです。そのため、ノルマが達成できない人とノルマが達成できている人との間の人間関係がギクシャクしてしまうというようなケースもあるでしょう。したがって、個人ノルマの達成には、精神的な強さが要求されるということもできます。プレッシャーに弱い人や競争が苦手な人には、個人ノルマという制度は向いてないということもできるかもしれません。
アパレル店舗で個人ノルマが達成できない場合はどうなる?
以前は、ノルマ未達成分の金額については、自腹で購入させるというペナルティが課されるケースもありました。このようなイメージが払拭されていないため、「ノルマ=きつい」というイメージにつながってしまっているようです。昨今では、就労者のメンタルヘルス対策や企業としてのコンプライアンスが重視されるようになりました。そのため、ノルマが達成できなかった場合に自腹で購入させるようなペナルティが課されることは、ごく一部になっているようです。そして、多くは、ペナルティを廃止して、ノルマが達成されたときには、ボーナスを支給するなどのインセンティブが設定されるようになってきています。
アパレル店員が個人ノルマを達成するためにできること
アパレル店員が個人ノルマを達成するためには、どのような努力が必要になるのでしょうか。それでは、「アパレル店員が個人ノルマを達成するためにできること」について、ご紹介していきます。
<ファッションや商品に関する知識を習得する>
アパレル店員が個人ノルマを達成するためにできることの1つ目は、「ファッションや商品に関する知識を習得する」ことです。ファッションやトレンド、商品に関する知識に詳しくなれば、接客をスムーズに行いやすくなります。なぜならば、ファッションやトレンド、商品に関する知識に詳しくなれば、お客様に似合う商品をトータルコーディネートして、ご提案することができるようになるからです。また、商品に関する正しい知識をすぐにお伝えすることによって、お客様からの信頼の獲得にもつながるようになるでしょう。お客様が納得感を感じるお買い物体験を提供できるため、商品の購入につながる回数を増やすことができるのです。
<お客様目線の行動をする>
アパレル店員が個人ノルマを達成するためにできることの2つ目は、「お客様目線の行動をする」ことです。具体的には、お客様がお買い物をする際の行動や商品を選ぶ際のポイントなどに注目して、仕事をするとよいでしょう。例えば、お客様からの問い合わせが多い商品については、売り場の目立つ位置に置くようにしましょう。また、お客様のニーズを正しく理解して、商品をご紹介するようにしましょう。なお、お客様のニーズとしては、「体のラインをカバーできるアイテムが欲しい」や「トップスに合うアクセサリーが欲しい」などが考えられるでしょう。以上のような行動から、商品の購入につながる回数を増やすことができるのです。
<計画的にノルマ達成を目指す>
アパレル店員が個人ノルマを達成するためにできることの3つ目は、「計画的にノルマ達成を目指す」ことです。日割りの予算を算出して、毎日、進捗状況の管理を行うようにするとよいでしょう。進捗状況の管理を行うことによって、目標に対して、目標達成までの距離を把握することが可能になります。日々、着実なステップを重ねていくことによって、最終的な目標の達成を目指していくのです。
<達成・未達成に関わらず、毎日の成果を振り返る>
アパレル店員が個人ノルマを達成するためにできることの4つ目は、「達成・未達成に関わらず、毎日の成果を振り返る」ことです。日割りのノルマを達成することができた場合には、ノルマの達成につながった要因について、振り返るようにしましょう。これに対して、日割りのノルマを達成することができなかった場合には、反省点をまとめて、次回以降の業務に活かすことができるようにしましょう。
<メンバー間の連携を深める>
アパレル店員が個人ノルマを達成するためにできることの5つ目は、「メンバー間の連携を深める」ことです。個人ノルマを全体で管理して、達成を目指していくことによって、一体感を生むことができます。また、メンバーが互いにフォローをすることによって、ノルマ達成を目指す風土も生まれやすくなるでしょう。
個人ノルマのないアパレル店舗で働くためには?
個人ノルマのないアパレル店舗で働くためには、どうすればよいのでしょうか。それでは、個人ノルマのないアパレル店舗で働くための方法について、ご紹介していきます。
<応募前に求人情報を確認する>
ノルマがない企業の場合には、求人に「ノルマなし」と記載されています。ノルマによる精神的なストレスから、アパレル自体が好きではなくなってしまうかもしれないと思う場合には、求人をよく確認したり、転職エージェントに相談したりするなどして、ノルマがない企業を探してみるのもよいでしょう。ただ、これも現在はノルマがなくても、今後、企業の方針の変更や店長の交代によって、ノルマが課せられるようになるケースもあります。なお、求人にノルマに関する記載が特にない場合には、面接の際に確認してみるとよいでしょう。面接官は、基本的には、ノルマの有無について答えてくれるはずです。ただ、言葉を濁したり、はっきりと言わなかったりする場合もあります。そのような場合には、ノルマがあると思ってまず間違いはないでしょう。事前に店舗見学に行って、そのお店の雰囲気や店員の接客態度から、ノルマの有無を確認することもできるかもしれません。
<アパレル専門の転職サイトや転職エージェントを活用>
昨今では、アパレル専門の転職サイトや転職エージェントも数多く登場してきています。アパレル専門の転職サイトを活用すれば、効率的に求人情報を確認することができるでしょう。また、アパレル専門の転職エージェントを活用すれば、ノルマの有無について、エージェントに確認してもらうこともできるでしょう。
ノルマの有無にも注目して、自分に合ったアパレル店舗で働こう
ここまでご紹介させていただいたように、ノルマにもいくつかの種類があり、それぞれ、メリットとデメリットがあります。そして、アパレル店員の中には、ノルマという目標の達成の為に自分の能力を試したいという人もいれば、店舗スタッフ同士、協力して仕事に臨みたいという人もいるでしょう。人生は、あなたが思っているよりも短いものです。現在の職場に不満がある場合には、転職をするということも手段の一つでしょう。その際には、企業研究を入念に行ったり、転職エージェントを活用したりして、自分に合う職場を見つけてください。職場の環境が自分に合ったときこそ、最大限の能力を発揮することができるのです。(modelpress編集部)
実際に働いている人の声は?
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