ファッション業界に転職するためには、この資格がなければいけないというようなものはありません。したがって、センスと人脈などから、チャンスをモノにすることも可能です。しかしながら、そのためには、人並み外れた幸運も必要でしょう。運頼みにするのではなく、ファッション業界への転職に有利といわれている資格を少しでも多く保有するために勉強するというのも、賢い選択の一つです。そこで、本稿では、それぞれの資格の特徴、取り方、メリットなどについて、ご紹介していきます。
ファッション業界の仕事に資格・検定は、必要?
ファッション業界で仕事をするためには、特定の資格・検定は、必要になるのでしょうか。
<特定の資格は、不要なケースが多い>
アパレル業界では、特定の資格が求められるケースは、あまり多くありません。特に、アパレル店員の場合には、資格が不要という求人がほとんどです。なぜならば、基本的には、実際に働きながら、商品知識、コーディネートのスキル、接客技術などを身につけることができるからです。
<資格があれば、転職の際にアピールできる>
資格を取得しておくことによって、転職の際に知識や学習意欲などをアピールすることができる可能性があります。企業側が、「入社後の成長が早い」ととらえてくれるというようなケースも少なくないようです。
ファッション関連の資格・検定(基本編)
アパレル店員やマーチャンダイザー(MD)などになりたい人におすすめの資格・検定について、ご紹介していきます。
●カラーコーディネーター検定試験
ファッション関連の資格の中でも取得が簡単なカラーコーディネーター検定試験について、ご紹介していきます。
<資格の概要>
カラーコーディネーター検定試験は、ビジネスシーンで活用できる色彩の知識があることを証明する検定試験です。1級から3級まであり、登竜門的な3級は比較的簡単ですが、「色彩のプロ」に恥じない1級ともなると難易度もアップします。ファッション業界の中でもショップ販売などのサービス業でいかすチャンスの多い資格です。受験者もすでにサービス業に従事している人の数が多くなっています。
<受験資格>
受験資格には、特に制限はありません。したがって、最も難しい1級から挑戦することも、2つの級を同時に受験することも可能です。ただし、1級については、1回の試験につき1分野しか受験できないルールになっているため、全分野の合格には少なくとも3年以上必要になります。
<試験の形式>
3級と2級は、マークシート方式となっています。1級は、マークシート方式と論述式となっています。
<勉強方法>
実施団体が開催しているスクール、セミナー、通信講座などで勉強することができます。また、実施団体が刊行している公式テキストで過去問題や練習問題に取り組むのもおすすめです。
●ファッションビジネス能力検定
ファッションビジネスに関する能力を問うファッションビジネス能力検定について、ご紹介していきます。
<資格の概要>
ファッションビジネス能力検定は、ファッションの造形から流通に至るまでの知識を持っていることを証明する検定です。顧客のニーズを把握し、戦略を立てる人材として、ファッション産業のマーケティング部門、企画開発部門などで活躍したい人におすすめです。
<受験資格>
受験資格には、特に制限はありません。したがって、例えば、最も難しい1級から受験することも可能です。
<試験の形式>
3級と2級は、マークシート方式となっています。1級は、記述式と選択式となっています。
<勉強方法>
実施団体やスクールが主催しているセミナーや通信講座を利用することができます。また、公式テキストや問題集などを利用して勉強することもできます。
●リテールマーケティング(販売士)検定試験
ビジネスパーソンとしての基礎を固めたい人におすすめのリテールマーケティング(販売士)検定試験について、ご紹介していきます。
<資格の概要>
リテールマーケティング(販売士)検定試験は、店舗を運営していくための実践的な知識を身につけることができる検定試験です。販売技術、接客技術、在庫管理、マーケティング、人事管理、労務管理などについて、学ぶことができます。なお、リテールマーケティング(販売士)検定試験には、1~3級まであります。
<受験資格>
受験資格には、特に制限はありません。したがって、最も難しい1級から挑戦することも、2つの級を同時に受験することも可能です。
<試験の形式>
3級と2級は、マークシート方式となっています。1級は、記述式と選択式となっています。
<勉強方法>
それぞれの級ごとに販売されている公式テキストを利用して、勉強するとよいでしょう。また、通信講座を受けることもできます。
ファッション関連の資格・検定(職種別)
ビジュアルマーチャンダイザー(VMD)やデザイナーなどになりたい人におすすめの資格・検定について、ご紹介していきます。
●ビジュアルマーチャンダイザー(VMD)
・商品装飾展示技能検定
マーチャンダイジングプレゼンテーションを学ぶことができる商品装飾展示技能検定について、ご紹介していきます。
<資格の概要>
商品装飾展示技能検定は、ビジュアルマーチャンダイザー(VMD)の能力開発を目的とした技能検定です。商品を的確かつ効果的に表現して見せるために必要な技能・知識について、学ぶことができます。なお、商品装飾展示技能検定には、1~3級まであります。
<受験資格>
3級には、特に制限はありません。2級の受験資格は、実務経験期間が2年以上、または3級合格者とされています。1級の受験資格は、実務経験が7年以上、2級合格後の実務経験が2年以上、または3級合格後の実務経験が4年以上とされています。
<試験の形式>
商品装飾展示技能検定は、実技試験です。実技試験の内容は、売り場のスケッチ、売り場づくりの実践、商品のプレゼンテーションなどです。
<勉強方法>
公式テキストを利用して、勉強するとよいでしょう。また、実践を通して、ビジュアルマーチャンダイジングの技能・知識を身につけるとよいでしょう。
●品質管理
・繊維製品品質管理士(TES)
ファッション業界を支えているのは、繊維業といっても過言ではありません。繊維製品の品質を保つために欠かせない存在が、繊維製品品質管理士(TES)です。
<資格の概要>
繊維製品品質管理士(TES)は、繊維製品の品質について、消費者からクレームが来ないように、製品の製造や販売を行う企業の中で活躍するための資格です。企業と消費者の信頼関係を確かなものにするために欠かせない存在といえます。製造業から販売業まで、幅広い企業にアピールすることができるというメリットは、見逃せません。繊維製品の素材に関する知識、生産、流通、消費の各分野のエキスパートである衣料管理士(TA)と概ね同様の資格です。
<受験資格>
受験資格には、特に制限はありません。繊維製品品質管理士(TES)は、衣料管理士(TA)とほぼ同様の資格ではありますが、衣料管理士(TA)は、認定校を卒業しなければ取得できません。したがって、繊維製品品質管理士(TES)は、誰でも受験できるお得な資格ともいえます。
<試験の形式>
試験科目は、5科目あり、繊維製品の品質管理に必要な基礎知識を問う短答式試験と、応用能力を問う記述式試験に分かれています。
<勉強方法>
実施団体が開催しているセミナーに参加することができます。また、公式に販売されている教材や受験テキストなどを利用して勉強することもできます。
●デザイナー
・ファッションデザイナー認定試験
資格がなくても、「ファッションデザイナー」と名乗ることはできます。しかし、じつは服飾デザインに関する知識と技術を持っていることを証明する資格もあるのです。
<資格の概要>
ファッションデザイナー認定試験は、ファッション造形、ファッションビジネスに関する知識を問う認定試験です。各種衣類、部位の種類と特徴などのデザインの基礎知識から流通にいたるまで、幅広い知識が問われます。ファッション関連の資格・検定の中で最も認知度が高いといってもよいでしょう。デザイナーを目ざしている人だけではなく、アパレル企業に就職したいと考えている人にもおすすめです。
<受験資格>
受験資格には、特に制限はありません。誰でもインターネットから申し込むことができ、在宅での受験となります。
<勉強方法>
ファッションデザイナー認定試験に合格するためには、専門学校に通うのも一つの方法ですが、通信講座や市販の教材などを利用して合格している人も少なくありません。
●パタンナー
・パターンメーキング技術検定
アパレル・リテール企業等のパターン技術者になりたい人におすすめのパターンメーキング技術検定について、ご紹介していきます。
<資格の概要>
パターンメーキング技術検定では、ファッション造形知識・技術、工業用パターンメーキングやグレーディングに関する専門的な知識が問われます。なお、パターンメーキング技術検定には、1~3級まであります。
<受験資格>
受験資格には、特に制限はありません。
<試験の形式>
3級と2級は、マークシート方式の筆記試験と実技試験です。1級は、実技試験のみです。
<勉強方法>
3級と2級については、公式テキストを利用して、勉強するとよいでしょう。1級については、対策講座を受けるとよいでしょう。
・CAD利用技術者試験
CADオペレーターになりたい人におすすめのCAD利用技術者試験について、ご紹介していきます。
<資格の概要>
CAD利用技術者試験は、3次元CAD利用技術者試験と2次元CAD利用技術者試験に分かれています。3次元CAD利用技術者試験には、2級、準1級、1級があります。2次元CAD利用技術者試験には、基礎、2級、1級があります。なお、2次元CAD利用技術者試験の1級については、機械、建築、トレースに分かれています。
<受験資格>
3次元CAD利用技術者試験の2級には、特に制限はありません。3次元CAD利用技術者試験の準1級と1級は、2級有資格者でなければ受験できません。ただし、2級との併願受験は可能です。2次元CAD利用技術者試験の基礎と2級には、特に制限はありません。2次元CAD利用技術者試験の1級は、2級または1級の有資格者でなければ受験できません。
<試験の形式>
3次元CAD利用技術者試験の2級は、マークシート方式の筆記試験です。3次元CAD利用技術者試験の準1級と1級は、3次元CADソフトを使用したモデリングとマークシート方式の実技試験です。2次元CAD利用技術者試験の基礎と2級は、筆記試験のみです。2次元CAD利用技術者試験の1級は、実技試験と筆記試験です。
<勉強方法>
公式ガイドブックを利用して、勉強するとよいでしょう。また、CAD利用技術者試験を採用している企業や教育機関でも勉強できます。
ファッション関連の資格を取得して、強みをアピール
ファッション業界への転職の際には、センスをアピールするだけでは、差別化をすることは難しいという側面もあります。なぜならば、そもそもファッションに興味があり、センスに自信を持っている人が多くいるからです。そのような中で客観的な評価ともいえる資格を持っていることは、強みになるでしょう。ぜひ、ファッション関連の資格の取得にチャレンジしてみることをおすすめします。(modelpress編集部)
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